家族信託のやり方と流れは?必要書類と注意点を解説
人生100年時代と言われる中で、認知症や持病の悪化で判断能力が低下する前に財産管理をしておきたいと考える方は多いです。
成年後見制度や遺言書はいくつかのデメリットがあるため、専門家への依頼が必須ではあるものの柔軟に財産管理ができる家族信託が注目されています。
本記事では、家族信託のやり方の流れとは何かお伝えしたうえで、手続きをするときの必要書類と注意点を解説します。
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家族信託のやり方の流れとは
そもそも家族信託とは、被相続人の財産を管理したり運用したりする権利を親族に託す制度です。
家族信託に関わるのは、委託者と受託者と受益者の3者です。
賃貸経営を例にするのであれば、委託者兼受益者がオーナー・受託者が家族であり、オーナーに万が一のことがあったら家族が賃貸経営を継続しておこないます。
基本的には家族が代わりに賃貸経営を継続したとしても、家賃収入を受け取る権利を持つのは受益者に該当するオーナーです。
つまり、前もって家族信託を結んでおけば、オーナーが認知症や持病の悪化などで深刻な状態になっても、賃貸経営に影響が出にくいため安心です。
家族信託のやり方として一般的な流れは、家族間で目的と内容を決定・信託契約書の作成・信託契約書の公正証書・信託財産の登記・金銭を信託するための銀行口座の開設・財産管理のスタートとなります。
まず、家族間であっても「なぜ家族信託をするのか」の目的を互いに一致させておかなければ、後からトラブルになるリスクが伴います。
認識の違いが発覚すると、信託をする本来の目的が達成できず、家族が損するだけでなく第三者にも損害が広がるリスクがあるため必ず話し合いをしてください。
続いて、正確に記載するように決められた条項や内容を盛り込んだうえで作成する必要がありますが、あらかじめ作成されたフォーマットをダウンロードするとミスを軽減できます。
信託契約書の作成だけでは、家族が財産を管理したり運用したりする権利はありません。
とくに不動産のように所有者を証明する名義が登記されているのであれば、委託者から受託者に該当する家族の代表者に名義変更の手続きが必要です。
通常の名義変更ではなく、信託登記として名義変更がおこなわれるため、委託者から受託者に対して信託財産を引き渡したと証明できるようになります。
受託者はあくまで「財産管理・運用がむずかしい方の代わりにサポートする」役割を担っており、信託財産を自分のために自由に使って良いわけではありません。
そのため、信託財産の預貯金を既存の銀行口座に入金するのは認められておらず、信託財産を管理する目的で新たな銀行口座の開設が求められます。
信託口座を作れる金融機関は限られているため、あらかじめリサーチしておきましょう。
無事に信託口座が開設できれば、基本的な手続きのやり方として流れは完了です。
ここからは、委託者の希望を尊重しながら信託財産の管理と運営を進めていきましょう。
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家族信託の手続きに必要な書類
家族信託の手続きで求められる必要書類一覧は、本人確認証明書・受託者と受益者それぞれの印鑑証明書と実印・信託財産に関連した資料・戸籍謄本です。
本人確認証明書は、運転免許証やマイナンバーカードなど公的機関から発行されたものであれば有効です。
受託者と受益者それぞれの印鑑証明書は、マイナンバーカードを発行していれば最寄りのコンビニでも発行できますが、発行日が3か月以内の書類しか認められません。
さらに土地や建物などの不動産を家族信託するのであれば、不動産登記のために必要な書類があります。
不動産の名義を委託者から受託者に変更しなければならないからです。
不動産を家族登記するタイミングでの必要書類一覧は、委託者の印鑑証明書と実印・登記済証もしくは登記識別情報・委託者と受託者の本人確認証明書・受託者の住民票と認印です。
家族信託の手続きですでに提出している書類に関しては、再提出する必要はありません。
土地や建物などの不動産を取得すると、法務局から登記識別情報が通知されるのが原則です。
以前までは登記識別情報の代わりに登記済証とも呼ばれており、該当する土地や建物の所有権があるのは誰かを明確にする利権書のようなものです。
一度発行された登記識別情報は、紛失しても再発行できないため、通知されるタイミングで法務局から「大切に保管してください」と念を押されるでしょう。
登記識別情報を紛失した場合、再発行はできないものの、信託登記で所有権の証明が必要なときは、司法書士や専門家に依頼すると対応してもらえます。
信託登記の直前で登記識別情報の保管場所が分からずに探していると、時間を無駄にする原因になるため、紛失したと気づいた時点で専門機関に相談するのが良いでしょう。
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家族信託の手続き時の注意点
家族信託を結ぶと、長期的に誰かの財産を管理したり運用したりする必要があるため、家族の十分な理解が必要と言われています。
まだまだ日本国内で家族信託の考えが浸透していないため、受託者は運用責任や委託者を尊重する姿勢が求められるものの、仕組みを理解していない方からは「財産を譲り受けた方」と認識されがちです。
法定相続人が複数いる親族間では、家族信託を結んだだけで「特別扱いしている」「優遇している」と本来の目的とは異なる受け取り方をされる可能性があるため気を付けましょう。
家族信託を結んだだけでは財産を自由に処分したり、自分の私利私欲のために使ったりするのは認められていないと説明して、正しく理解してもらいましょう。
そして、家族信託を結ぶ委託者と受託者の間でも、目的や運用方法など決めておくべき点を明確にして、全員が納得したうえで代理で財産を管理するようにするとトラブルになりにくいのがポイントのひとつです。
また、認知症や持病の悪化などで財産管理ができなくなったときの対処法として、成年後見制度や遺言書など家族信託以外の方法も検討すると良いでしょう。
場合によっては、成年後見制度や遺言書以外にも信託銀行を利用した商事信託が向いている場合もあります。
すぐに家族信託を利用すると決めるのではなく、それぞれの対処法のメリットとデメリットを見たうえで、今置かれている状況からもっとも目的を果たしやすい手段を取捨選択しなければなりません。
また、手続きにおいて書類の作成ミスは致命的であるため注意が必要です。
早い段階で書類内容の不備が分かればすぐに対処できますが、再提出が求められたタイミングで家族が認知症になったり持病の悪化が進んだりして判断能力がなくなると締結は完了しません。
つまり、家族が代わりに財産を管理するのが認められなくなるため、ただ相続が回ってくるのを待つほか方法がありません。
少ない回数での手続きで済ませられるように、必要書類の確認や重要事項の記入は慎重におこなっていきましょう。
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まとめ
家族信託は、認知症や持病の悪化で財産管理が難しくなった家族の代わりに運用や処分などの管理ができるため注目されています。
不動産のように名義登記されている財産に関しては、通常よりも多くの必要書類が求められるため、余裕を持って準備を進めると安心です。
また、法定相続人がいるのであれば親族間でのトラブルを未然に防ぐためにも、明確に家族信託を結ぶべき理由を伝えたうえで理解してもらえるように話し合いをしましょう。
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