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不動産売却の違いとは?離婚と相続で家を売るときの注意点を解説

不動産売却の違いとは?離婚と相続で家を売るときの注意点を解説

「離婚をするから家を早く売りたい」「相続した土地や建物をできるだけ高く売りたい」など不動産を売却する理由はさまざまあります。
不動産売却の方法は主に仲介と買取がありますが、それぞれメリットやデメリットがあるため、ご自身に合った方を選びましょう。
本記事では、仲介と買取の違いをお伝えしたうえで、離婚によるマイホームと相続物件を売却する際の注意点を解説します。

不動産を売却するときの仲介と買取の違い

不動産を売却するときの仲介と買取の違い

不動産を売却する方法は、主に仲介と買取の2種類があります。
不動産仲介とは、不動産を売却したい方が不動産会社と媒介契約を結んで、第三者に対して販売活動をおこなう方法です。
不動産買取とは、不動産会社や買取業者などの専門業者に不動産を直接買い取る方法です。

仲介と買取の違い

仲介と買取の違いは、買主・期間・価格・契約不適合責任・売却価格・販売活動の6項目あります。
買主に関して、仲介は不動産会社が販売活動をして募集する第三者の個人を取引相手にしているのに対して、買取は不動産会社や買取業者など専門業者を取引相手にしています。
期間に関して、仲介は購入希望者が現れて住宅ローンを組むのであれば審査に通った買主が現れるまで成立しませんが、買取は条件を満たせば最短1週間で売却可能です。
価格に関して、仲介は不動産会社と売主が相談しながら売出価格を決めて購入希望者と交渉するため相場程度になるのに対して、買取は一般的には市場相場の7~9割ほどで取引されます。
不動産会社や買取業者は、リフォームをして販売活動するのを前提としており、売却するまでにかかる費用を差し引いて取引価格を提示しています。
契約不適合責任に関して、仲介の場合は売主側に伝達不足があれば賠償対象になりますが、買取は免除してもらえるケースが多いです。
費用に関して、媒介契約を結ぶのであれば仲介手数料の支払いが発生しますが、買取であれば仲介手数料の支払いは発生しません。
販売活動に関して、仲介では広告掲載や内見対応などをおこなう必要がありますが、買取は専門業者を取引相手にしているため不特定多数に向けた販売活動はおこないません。
もっとも大きな違いは買主が違う点であり、買取を選択すれば売却まで短期間で手続きが進められる可能性があるため、現金化を急ぐ方におすすめです。

即時買取と買取保証

ちなみに、不動産買取は即時買取と買取保証の2種類があります。
即時買取とは、不動産会社や買取業者との取引価格の交渉が完了次第すぐに買取手続きに進むため、最短1週間・最長1か月以内に引き渡しをする方法です。
買取保証とは、不動産仲介と即時買取の仕組みを融合しており、一定期間は第三者の購入希望者に向けて販売活動をして売買契約が締結できなければ専門業者と取引をする方法です。
現金化までのスピードを重視するのか、できる限り高い取引価格を希望するのかによって売却方法を検討しましょう。

離婚で不動産売却をする場合の注意点

離婚で不動産売却をする場合の注意点

離婚で不動産売却をする場合の注意点は、名義人・売却価格の予測・財産分与・住宅ローンの4つです。

名義人

まず、不動産を売却できるのは不動産売買契約書に記載されている名義人のみです。
たとえば、夫婦のどちらかが名義人になっているのであれば独断で決断ができますが、夫婦の共有名義になっている場合は売却に対してそれぞれが合意しなければ手続きができません。
売却予定の不動産を購入したときに、必ず受け取る不動産売買契約書に誰の名前が記載されているのかを確認してください。
名義人ではないものの、今まで住んでいた物件に住み続けたいのであれば、所有権を持つ名義人と話し合いをして売却の合意を得なければなりません。
夫婦の共有名義になっている不動産を売却したくても配偶者が同意しない場合は、共有持分のみを売却する方法があります。
しかし、共有持分のみの売却は汎用性が低く、購入希望者が見つかりにくかったり値下げ交渉をされたりする可能性が高いです。

売却価格の予測

続いて、所有している不動産を売却して住宅ローンの返済や新生活の資金に充てるのであれば、どれほどの価格で売却できる可能性があるのか確認します。
不動産会社に査定を依頼すると、立地や物件構造など複数の条件をもとに、理想的な売出価格を提示します。
ただし、悪質な不動産会社は媒介契約を提携してもらおうと、相場よりも高額な査定額を提示する可能性があるため注意が必要です。
相場よりも高すぎると売れ残るリスクがあり、相場よりも低すぎると十分な利益が出せない可能性があります。
ご自身でも類似物件の売出価格をリサーチして、不動産会社の査定額が適正かどうか判断して媒介契約を結びましょう。

財産分与

さらに、離婚を理由に不動産売却をして譲渡所得が出た場合は、財産分与の対象になるため、単独名義と共有名義を問わず夫婦で分け合います。
たとえ夫婦間で収入格差があったとしても、基本的には50%ずつ分配します。

住宅ローン

最後に、住宅ローンの返済が終わっていないのであれば、売却価格で住宅ローンを完済できるかどうかが重要です。
売却価格で住宅ローンを完済できるのであれば手元に残った資金を夫婦で分配しますが、売却価格で住宅ローンを完済できない場合は財産分与の対象にはなりません。

相続物件を不動産売却する際の注意点

相続物件を不動産売却する際の注意点

遺産分割協議

相続物件を不動産売却する際の注意点として、共有者間で意見の食い違いが生じやすいため、入念な話し合いが必要です。
不動産のように物理的に遺産分割がむずかしい財産は、複数人で所有権を持っているため、共有者全員の合意がなければ売却・維持・運用・処分ができません。
思い入れのある不動産だから維持したいと考える方がいる一方で、現金化して分配するために売却をした方が良いと考える方もいます。
遺産分割協議がスムーズにまとまらないのであれば、第三者に介入してもらう選択も有効です。
複数人で共有している相続物件を売却するのであれば、手続きの時点で共有者全員の実印と印鑑証明書が必要です。
売却手続きで共有者全員でおこなうのは負担に感じる場合、代表者が単独名義で相続登記すれば手続きを簡易化できます。
ただし、単独名義で相続登記をする代表者は、残りの共有者に対して共有持分の換価を支払わなければならないため金銭面での余裕が必要です。

税金の支払い

続いて、不動産を売却して譲渡所得が生じたのであれば、翌年の確定申告で税金の支払い義務が発生します。
譲渡所得の計算方法は、「譲渡価格-取得費-譲渡費用」です。
相続した不動産の場合は、購入価格が取得費に含まれませんが、相続したときに発生した費用や売却活動中に発生した費用はすべて計上できます。
少しでも譲渡価格を安く抑えるためにも、取得費用や譲渡費用に計上したい項目は、領収書を受け取るなどして節税対策をおこないましょう。
また、適用要件を満たせば控除や特例を受けられる可能性があります。
とくに、全国の空き家問題を解決する目的で実施されている「相続空家の3,000万円の特別控除」は、大幅な節税効果が期待できます。
提示されている適用要件を細かく確認して、申請するか検討しましょう。

まとめ

不動産売却には、不動産会社が販売活動をする仲介と、専門業者が直接買い取る買取の2種類の方法があります。
できるだけ早く現金化したいのであれば買取を検討するべきですが、取引価格を高くしたい場合委は仲介がおすすめです。
離婚や相続で不動産を売却する際に共有名義がいる場合は、物件の取り扱い方法で合意が取れるように、入念に話し合いをするようにしましょう。