空き家における火災の原因と対策!火災が発生したときの所有者の責任も説明
親が死亡などにともなって引き継いだ実家を、誰も住まないまま維持しているケースが多くみられます。
ところで、空き家にしている住宅で火事が起きたときには、所有者が管理責任を問われる可能性があるのをご存じでしょうか。
この記事では、空き家における火災の原因と対策のほか火事が起きたときの所有者の責任についてもご説明するので、空き家を所有している方はお役立てください。
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空き家における火災の原因
誰も住んでいない住宅から出火するイメージがないかもしれませんが、空き家で発生する火災は全国的な問題になっています。
ここでは、空き家で火事が起きる原因についてご説明するので、参考にしてください。
火災発生の原因
総務省消防庁では消防統計を公表するなど、火災の予防に努めています。
令和5年度の消防統計で示されている火災の原因は、タバコが3,493件でもっとも多く、次いでたき火3,472件、コンロ2,837件、放火2,487件と続きます。
タバコの件数のなかには、雑草のほか不法投棄されたごみなどにポイ捨てされたタバコの火が燃え移って延焼するケースが含まれます。
コンロはガス漏れや配線機器のトラブルによる火災などを指しており、老朽化した設備の管理を疎かにすると危険性が高まるのです。
なお、ネズミや野良猫がガスの配線を噛んで漏電を引き起こし、火事になった事例も報告されています。
空き家で火災が発生する原因
空き家は夜間に照明をつけないため、周囲から居住者がいないと把握されやすいでしょう。
住宅の様子を周囲から観察できるとともに、近隣に家が少ないと玄関や庭に容易に近づけます。
ドアや窓を施錠していないときには簡単に室内に入って物色するのも可能で、玄関先や庭に新聞や雑誌などを不法に投棄されかねません。
放火されやすい住宅の特徴としては、人の気配が感じられない、敷地内が見えやすい、ドアや窓の施錠がされていない、周囲に燃えやすいものが置いてあるなどがあげられます。
したがって、居住者のいない住宅は放火されやすい条件を満たしており、放火犯に狙われてしまいます。
また、放火に限らず室内への侵入者によるタバコの不始末のほかガス漏れや動物による機器の異常が起こるなど、誰も住んでいない住宅は火災のリスクが高く注意が必要です。
放火による火災の発生状況
火災の原因のうち放火が占める割合は高く、空き家は放火を受けやすい条件が揃っており適切に管理しなければなりません。
総務省消防庁の消防統計によると、令和5年度においては、総出火件数38,659件のうち4,106 件は放火と放火の疑いで全体の10.6%を占めています。
10年前の平成25年の放火と放火の疑いを合わせた件数は8,786件で、現在は半数以下になっているのがわかります。
ただし、令和4年度は3,710件、令和3年度は3,888件、令和2年度は4,052件と、近年は横ばいで推移している状況です。
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空き家における火災の対策
誰も住んでいない住宅は放火される条件が揃っていることが多く、火災のリスクが高い物件です。
ここでは、空き家を火災から守るうえで求められる対策についてご説明します。
適切な管理
誰も居住していない住宅であっても、定期的に状況をチェックするとともにメンテナンスをおこなうなど適切な管理が必要です。
庭先に草や雑木が生い茂った状況は、ごみの不法投棄を招いてしまいます。
また、ポストに投函されるチラシなども放火につながります。
空き家はタバコをポイ捨てされやすく、ごみやチラシなどが出火の原因にならないよう、月に数回は草刈りや清掃をおこないましょう。
また、雑草のなかにネズミや野良猫などの動物が巣をつくると、住宅内へ侵入されやすくなります。
老朽化した住宅は壁や床、屋根などに傷みが生じており、動物が入り込める隙間があるかもしれません。
室内や住宅の周辺に糞をみつけたときは、近くに巣をつくっている可能性があり注意が必要です。
なお、居住者がいなくても適切に管理していると、人の出入りを嫌う不審者による不法侵入の防止にも役立ちます。
空き家を維持するときには、住宅内と周囲を定期的に手入れして火災のリスクを軽減しましょう。
管理が困難なケース
遠方に住んでいる方や忙しくて管理する時間を作れないときには、管理会社へ依頼する方法があります。
管理会社はさまざまなサービスに応じており、定期的な見守り、清掃、草刈りのほか、24時間の緊急通報体制を提供しているなど安心できます。
室内の清掃によって老朽化の進行を抑えるとともに、草刈りや樹木を手入れしておくと居住者がいないと気付かれにくくなるでしょう。
玄関先に管理会社の看板を設置すると、不法侵入の抑止に効果的です。
放置している空き家が近隣トラブルを引き起こすケースがありますが、管理会社が出入りしていると、周囲からの理解も得やすくなるでしょう。
なお、将来にわたって住宅を利用する見込みがないときには、賃貸物件や売却のほか解体すると問題を解決できます。
賃貸物件に出すと家賃収入を得られ、売却すると売却代金が手に入ります。
大切な思い出が詰まっているとしても、誰も居住しない住宅は維持するよりも手放すほうが得策かもしれません。
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空き家で火災が発生したときの所有者の責任
適切に管理していても、空き家である以上、居住者がいる通常の住宅に比べると放火などのリスクは大きくなります。
所有している住宅で火事が起きたときは、所有者が責任を問われるケースがあり注意が必要です。
失火責任法
適切に管理されていない空き家があると隣人は安心して生活できず、トラブルに発展しているケースが全国各地で少なくありません。
民法709条では、他人の行為や他人が所有する物により権利を侵害されたときには、侵害からの救済を求められるよう定められています。
したがって、隣家から出火した火事によって損害を被った被害者は、隣家の所有者に対して損害賠償を請求できるように思うでしょう。
ところが、失火責任法において、民法第709条の規定は失火のときには適用しないと定められており基本的には損害賠償を請求できません。
放火を受けた住宅の所有者は、失火責任法に基づき、周囲に対して損害賠償を負う義務を負わずに済みます。
失火者に重大な過失があるケース
失火責任法では、失火者に重大な過失があるケースの扱いについても規定しており、すべての過失が損害賠償義務を免れるわけではない点に注意が必要です。
重過失の解釈によって判断が異なりますが、適切に管理していないときには重過失と判断される可能性がある点が1つのポイントにあげられます。
不法侵入者による放火が原因の火災においては、出火させた放火犯が責任を負うように感じる方が多いでしょう。
ところが、空き家の管理状況が悪くて不審者などが容易に室内へ入れる状況だったときには、所有者は重過失を問われ損害賠償義務を免れない可能性があります。
また、漏電により火事が起きたケースでは、管理面における重大な過失を指摘され電線を管理する所有者が責任を負うのが一般的です。
居住しないときには、家電をコンセントから抜くだけではなく、漏電を起こさないようブレーカーを上げておきましょう。
火災保険
誰も住んでいない空き家を対象とする火災保険は、一般住宅とは異なり保険料が割高になるとともに加入条件が厳しくなります。
契約するにあたって、物件の管理状況を確認されるのが一般的です。
居住者がいなくて廃屋のように放置した状態の住宅は、保険の加入が難しいでしょう。
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まとめ
空き家は放火されやすい住宅の条件を満たしているなど火災のリスクが高い不動産であり、適切な管理する必要があります。
自分で清掃などをおこなえない方は、管理会社へ委託すると良いでしょう。
また、将来的に利用する予定がないときには、賃貸や売却のほか解体がおすすめです。
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