土地活用における市場調査について！目的や基本の調査内容もご紹介

土地活用のときは、事前に市場調査をおこなって活用の方向性を決める必要があります。
市場調査では、土地活用のためにどのような調査をおこなうのか、知りたい方も多いのではないでしょうか。
今回は、土地活用における市場調査とは何か、市場調査の基本的な調査内容や調査の項目についてご紹介します。

土地活用における市場調査とは

市場調査とは、土地活用の前に消費者の方の需要や消費者心理などを調査し、分析して活用の方向性を決めることです。
土地があるエリアの現状やそこから考えられるニーズを読み取り、どのような形で土地活用を進めるのかを決めます。
土地を駐車場にするのか、店舗にするのか、賃貸物件にするのかなど、大まかな方針を決めるだけでなく規模、間取り、デザインなど細かい方向性を決めるのにも役立つでしょう。
市場調査に似た行為にマーケティングリサーチがありますが、これらは時系列のどこに目を向けて調査をおこなうかが異なっています。
市場調査ではこれまでの人口推移や競合物件などの情報を数値化し、過去の情報に基づいて調査をおこなうのが基本です。
その一方でマーケティングリサーチとは、エリアの将来に目を向けて調査をおこなうことであり、今後どのように人口が推移していくかなどを予測してニーズを調査します。

土地活用のために市場調査をおこなう目的とは

市場調査をおこなうためには、明確な土地活用の目的設定が必要です。
地域社会への貢献、安定した収入源の確保、税金への対策など、土地活用をおこなう目的は所有者の方によって異なります。
この目的を明確に定めておくことにより、目的を達成するためにはどのようなニーズに応えたら良いのかを把握できるようになるのです。
目的が曖昧になっていると、ゴールまでの道筋も明確に描けません。
安定した収入や税金への対策がしたいのであれば賃貸物件の経営、早めにまとまったお金がほしいときは土地売却、地域貢献を目指すのであれば店舗の誘致など、目的に合わせた土地活用が必要です。
そのうえで、目的の達成を目指して土地活用をするときの詳細な条件設定を決めるための市場調査をおこないます。

土地活用における市場調査の基本

土地活用のための市場調査では、その土地周辺のエリア内における需要と供給のバランス、将来性などを調査します。
これらの調査を基本として、そこから土地活用のための条件をどんどん詰めていくのが市場調査です。
それぞれの内容において、どのような調査がおこなわれるのか基本的な部分を見ていきましょう。

需要と供給の状態

土地活用のための市場調査をおこなうときは、まずその土地があるエリア内でどのような市場が形成されているかを調査する必要があります。
市場は消費者の方が持つ需要と、それに対してどのような供給がされているかによって成立するものです。
車がほとんど使われていないエリアに駐車場を作っても利用者はほとんどおらず、安定した収入につながりません。
また、すでに賃貸物件が密集しているエリアに新たに賃貸物件を建てるとき、ターゲット層を絞る、競合との差別化を図るなどの工夫が必要になります。
このように、そのエリアで消費者の方にどのような施設が求められているのか、どれだけその施設の供給があるのかについて調べなければなりません。
そのうえで、まだ供給が行き届いていないのはどのような施設なのかを把握することも大切です。
賃貸物件を経営するときでも、一人暮らし向けなのか、ファミリー向けなのか、ペット可など付帯する条件は必要なのかについて把握しておくと経営計画を立てやすいでしょう。

土地とエリアの将来性

土地活用のためには、市場調査だけでなくマーケティングリサーチも重要です。
現状の調査も大切ですが、それだけでは将来的に人口を構成する層が変化したときなどに対応できなくなる可能性があります。
現時点ではファミリー向けの賃貸物件が少ないエリアでも、大規模なマンションやアパートなどの建設計画が立っていると将来供給過多になる可能性があるでしょう。
そうなると、せっかく賃貸物件を建てても競合が増えすぎてしまい、条件をつけて差別化するのが難しくなります。
また、現在土地活用での利益が見込めないからと売却を選択してしまったものの、再開発によって価値が上がり売却した土地の活用の選択肢が広がるケースもあるでしょう。
そのような利益を得る機会の損失を防ぐためにも、マーケティングリサーチによってエリア全体の将来性を調査し、どのように土地活用をしていくのかを決めます。
長期的に利益を得るためにどのような形で土地活用をしていくのか決めるのが、市場調査やマーケティングリサーチの基本です。

土地活用における市場調査の項目

市場調査のときは、さまざまな角度から条件を探るため、いろいろな項目を調査します。
土地活用の市場調査では、エリア内のニーズや競合物件、人口増減、法規制に関する項目を調査するケースが多いです。
それぞれの項目でどのような内容が見られるのか、詳しく確認しておきましょう。

周辺エリアのニーズと競合物件

市場調査では、周辺エリアでどのような施設が求められているかについて調査をおこないます。
小学校や中学校の周辺で子どもと生活できる物件が求められているエリア、大学や事業所の近くで学生や単身者の一人暮らし向け物件が求められているエリアなど、エリアによりニーズはさまざまです。
そして、エリア内の競合物件によってそのニーズがどれだけ満たされているのかもチェックします。
すでにある物件がどれくらい経営しているのか、どのような設備が備わっているのかなどから、差別化が可能かを見ていくのです。
さらに、土地周辺の環境を調べてほかにどのような土地活用ができそうか、今後どのような方が集まってきそうかなどを調べます。
土地活用の選択肢を増やしておくと、仮に調査の結果、当初想定していた活用方法が難しいと分かっても別の活用方法を検討できるようになるでしょう。

周辺エリアの人口の増減

土地周辺の将来性を確認するためには、人口の増減を調べる必要があります。
人口の増減を調べるときは、自治体の窓口に問い合わせるとリサーチ可能です。
自治体によっては、過去の人口増減について公式ホームページで公開していることもあります。
ファミリーが多いのか、単身者が多いのか、年齢別の人口はどのようになっているのかなどを調査すると、どのような物件が必要か見えてくるでしょう。
若年層の移住が多いのであれば、単身者向けや2人のカップル、夫婦向けの小規模な物件のシェアが伸びる可能性があります。
ファミリー世帯が多いのであれば、3LDKなど比較的広めで部屋数の多い物件に人気が出るかもしれません。
高齢者が集まっているエリアのときは、バリアフリー設備を備えた高齢者向けの物件でも良いでしょう。
こうした細かなニーズを調べるためにも、人口増減の調査が重要なのです。

周辺エリアや土地における法規制

ビルや賃貸物件を建築するのであれば、周辺エリアやその土地に課されている法規制についても調べておく必要があります。
土地にどのような建物が建てられるかは、建築基準法だけでなく自治体の条例によっても決まっているため土地によって違うのです。
希望する建物が建てられるかどうかは、不動産会社に調査依頼を出して確認してもらうと良いでしょう。
そのときは、都市計画の有無についても調査しておくと参考になります。

まとめ

土地活用における市場調査とは、周辺エリアのニーズなどを調べてどのように活用すべきかを決めるための調査です。
周辺エリアにどのような方が集まっているのか、どのようなニーズがあるのか、どの程度満たされているのかなどを調査して活用方法を決めていきます。
市場調査のときは土地活用でどのような目的を果たしたいのかを明確にしておくことが大切です。