相続登記とは?必要経費として扱える登記に係る費用の種類についても解説

相続登記とは?必要経費として扱える登記に係る費用の種類についても解説

親が亡くなって財産を引き継ぐときには、さまざまな手続きが必要になります。
ところで、引き継ぐ財産のなかに土地や建物などの不動産があるときには、法務局において手続きが必要になるのをご存じでしょうか。
この記事では、相続登記とは何かのほか必要経費として扱える費用の種類と注意点についても解説するので、不動産を引き継ぐ予定の方はお役立てください。

相続登記とは

相続登記とは

土地や建物などの不動産については、所有者である名義人などについて法務局において登録する制度が法によって確立しています。
ここでは、法務局が受け付けている相続登記とは何かについてご説明します。

不動産登記とは

土地や建物などの不動産の所有者については、法務局が管理している登記簿謄本において物件ごとに明確化されており、確認できる状況です。
登録されている項目は所有者の氏名だけではなく所有者の住所のほか、土地については物件の所在地、地番、面積、地目などが記載されています。
建物については物件の所在地、家屋番号、建物の種類、構造、床面積などが記載されていますが、登録されていない建物も存在する点には注意しなければなりません。
また、借金などによって抵当権が設定されている状況なども記載されています。
不動産の取引においてはトラブルが起こりやすく、基本的な情報を把握するうえで重要な資料になっています。

相続登記とは

不動産を売買するときには、売買代金の支払いが終了した時点で所有者の変更について法務局へ手続きするのが一般的です。
親が亡くなるなど不動産を引き継ぐときには、子どもなどに不動産の所有権が移転します。
相続登記とは、正式には相続による所有権移転登記と呼ばれており、不動産の所有者である名義人について変更するうえで必要な手続きです。

手続きの義務化

不動産の売買においては高額な売買代金が発生し、取引の結果を明確にする必要があり、所有権移転の手続きがおこなわれないケースは極めて稀です。
一方、財産を引き継ぐ際には売買代金など金銭の収受は発生しません。
また、法務局へ手続きするうえで、さまざまな費用や手間がかかってしまいます。
登記名義人を変更しないでいると第三者は所有者を確認できませんが、手続きをおこなうのは義務ではありませんでした。
その影響もあって手続きを省くケースが横行し、所有者を確認できない物件が多発してしまい社会的な問題となりました。
この状況を改善するよう、国は2024年4月1日に法律を改正して手続きを義務化しています。
現在は、財産を引き継いだときには、引き継いだ日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
手続きを怠たったときには、10万円以下の過料が科される可能性がある点に注意が必要です。
なお、2024年4月1日よりも前に引き継いだ不動産に関しても、3年以内に手続きするよう定められています。

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必要経費として扱える相続登記にかかる費用の種類

必要経費として扱える相続登記にかかる費用の種類

相続に関する登記を申請するにあたっては、さまざまな費用がかかります。
ここでは、費用のうち必要経費として扱えるものについてご説明しますので、参考にしてください。

司法書士費用

不動産登記の手続きは、所有者などが自分でおこなっても構いません。
しかし、手続きには専門的な知識が必要であり、専門家である司法書士へ依頼するケースが多くを占めています。
司法書士に対する報酬については法などにより金額が規定されているわけではなく、それぞれの事務所によって異なります。
内容にもよりますが、特殊なものでなければ遺産分割協議書の作成を含めて7?15万円程度でしょう。
ただし、複数の兄弟がいるなど引き継ぐ方の数が多かったり、そもそも名義人が亡くなられた方でなかったりすると必要な書類が増えてしまいます。
したがって、必要書類を収集する作業などに対し費用が上乗せになる可能性があります。
なお、行政書士には不動産登記の手続きが認められていない点にも注意しておきましょう。

登録免許税

法務局で手続きするうえで登録免許税を支払う必要があります。
相続による所有権移転については、固定資産評価額の0.4%を納めなければなりません。
固定資産評価額の金額は、不動産が所在する市区町村から固定資産評価額証明書の交付によって確認します。
たとえば、固定資産評価額が1,000万円のときには、登録免許税として4万円が必要です。
登録免許税は、法務局に手続きする際に収入印紙で支払うと良いでしょう。
なお、2025年3月31日までの間、固定資産評価額が100万円以下の土地の相続登記に関しては登録免許税が免税になっています。

各種書類の取得費用

法務局へ手続きする際には、戸籍謄本や固定資産評価額証明書など多くの書類を添付しなければなりません。
司法書士への依頼方法にもよりますが、必要になる書類については報酬とは別に請求されるケースが多いでしょう。
また、書類を取得するうえでかかる交通費なども実費請求される可能性があります。
亡くなられた方に関しては、出生した時点から亡くなるまでの戸籍謄本が求められます。
各種の書類を自分で集める方法もありますが、手間がかかり、司法書士へ依頼するのが得策です。

必要経費

亡くなった方が所有する不動産において、賃貸アパートなどを経営しているケースがあるでしょう。
賃貸物件を引き継いで事業を継承するときには、家賃収入に対する所得税を支払わなければならなくなります。
所得税は不動産所得に対して課税され、不動産所得とは事業収入から事業に関する必要経費を差し引いて求めるものです。
必要経費として扱える費用が多くなるほど不動産所得の金額が低くなり、所得税が少なくて済みます。
したがって、必要経費として扱える費用は事業主にとって大きなポイントです。
司法書士費用や登録免許税、手続きに必要な各種書類の取得費用については、必要経費として計上できます。
手続きするうえで、司法書士への報酬などに10万円前後の支出が発生します。
少しでも所得税を節税できるよう、相続に関する費用を経費として扱ったうえで確定申告書を提出するのが得策です。

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相続登記にかかる費用を必要経費で扱ううえでの注意点

相続登記にかかる費用を必要経費で扱ううえでの注意点

ここでは、財産を引き継ぐ際の登記手続きにかかる費用について必要経費として扱ううえでの注意点をご説明します。

必要経費に含まれない費用

不動産を引き継ぐ際に、所得に関わらなければ所得税がかからないとともに確定申告は不要です。
ただし、賃貸経営などの事業を継承するときには、確定申告によって所得税を納める必要性が生まれます。
なお、司法書士費用や登録免許税などは必要経費として計上できますが、ローンの元本や所得税は基本的には計上できない点に注意してください。

相続税における取扱い

財産を引き継ぐときの登記手続きにかかる費用については、所得税の計算においては必要経費として計上できますが、相続税を算出する際における債務控除の対象になりません。
相続税における経費の扱いについては、勘違いしないよう注意点の1つにあげられます。

譲渡所得税における取扱い

不動産を引き継いだうえで第三者に対して売却する際には、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税の算出においては、登記手続きにかかる費用を譲渡費用として計上できるケースが一般的です。
また、複数の不動産を引き継いだうえで一部の不動産だけを売却するときには、不動産の評価を按分してから経費を算入する扱いになります。
税務に関する手続きなどは難しく、間違って取り扱わないよう専門的な知識を有している税理士に依頼すると良いでしょう。

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まとめ

引き継ぐ財産のなかに不動産があるときには相続登記を手続きするとともに、相続税を支払う必要があります。
また、賃貸事業を継承するなど事業収入に対して所得税がかかるケースもあります。
手続きには専門的な知識が必要であり、不慣れな方は専門家へ依頼し、誤った取り扱いをおこなわないよう注意しましょう。