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土地の相続税について!計算方法と評価額の調べ方もご紹介

土地の相続税について!計算方法と評価額の調べ方もご紹介

土地の相続税では、通常の所得税を計算するときと同様に、累進課税方式が採用されており、価値が高いほど税率も高くなる仕組みです。
「具体的にどれほどかかるの?」と不安になる方もいますが、基礎控除もあるので減税できる可能性があります。
本記事では、土地の相続税と手続きの流れをお伝えしたうえで、計算方法と評価額について解説します。

土地の相続税と手続きの流れとは

土地の相続税と手続きの流れとは

相続税とは

相続税とは、親や配偶者などの親族が亡くなったときに遺産を受け継いだ際、遺産総額に応じて発生する税金です。
ただし、土地を相続したからといって、100%相続税が課税されるわけではありません。
相続した遺産総額から基礎控除額を差し引いた金額が、一定金額を上回る場合、課税対象になります。
つまり、基礎控除額が遺産総額を上回る場合は、非課税です。
基礎控除のほかにも、配偶者控除・小規模宅地等の特例などさまざまな控除制度があります。
土地や建物のような不動産だけを引き継いで預貯金がなかった場合、相続人は自分の預貯金から相続税を捻出しなければなりません。
税額が高ければ納税できないからとの理由で、不動産を売却しようとしますが、少子高齢化の影響もあり、購入希望者がすぐに見つかるとは限りません。
このような事例が多くあるからこそ、国はできるだけ不動産相続の負担を軽減する目的で、控除制度を充実させています。
多くの制度があるため、土地を相続した方たちのうち、税金が発生しているのは、10人に1人程度の割合といわれています。

手続きの流れ

手続きの流れは、相続発生・遺言書の有無・法定相続人の調査と確定・相続財産の調査と確定・遺産分割協議・相続登記です。
まず、相続が発生したら、被相続人が作成した遺言書がないかを確認してください。
遺言書があれば、その内容が優先され、遺言書がなければ、法定相続人の確認をしてください。
法定相続人は、配偶者・直系血族・遺言書に記載されている方です。
ここで注意するべき点として、隠し子が存在する場合は、具体的な関わりがあってもなくても、遺産を引き継ぐ権利が発生します。
そのため、ここでの法定相続人の確認が重要です。
被相続人の残した財産を確認しますが、必ずしもプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産がないかどうかを入念にチェックしてください。
マイナスの財産がプラスの財産を上回るのであれば、相続人たちの負担になるため、遺産放棄の選択を視野に入れても良いでしょう。
財産を引き継いでから、借金などのマイナス財産がみつかると、法定相続人たちに支払い義務が生じてしまいます。
法定相続人と遺産を把握できたら、遺産分割協議にて、どのように遺産を分配するべきかを話し合います。
土地を相続する方が決まったら、必ず名義変更の登記手続きをおこなってください。
以前までは、任意だった登記手続きですが、現在は義務化されています。
各相続人は相続する遺産の金額に応じて、控除制度を適用させたり、税率をかけたりして、相続税の申告と納税を済ませます。
申告は、被相続人が亡くなった日から10か月以内と決められているため、遅れないように気を付けましょう。

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土地の相続税の計算方法

土地の相続税の計算方法

基礎控除額を算出

土地の相続税の計算方法として、まずは基礎控除額を算出します。
基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
基礎控除額は、相続人1人で3,600万円・相続人2人で4,200万円・相続人3人で4,800万円のように増えていきます。
たとえば、4,000万円の土地を1人の相続人で引き継いだ場合、基礎控除額を差し引いた400万円が課税対象です。
一方で、4,000万円の土地を3人の相続人で引き継いだ場合、基礎控除額を下回るので課税対象外になります。
課税対象になるのであれば、被相続人の死亡した日から10か月以内に申告が必要です。

課税対象に関わる注意点

注意点として、民法改正により2015年1月1日以降の基礎控除額が引き下げられたため、課税対象になる方が増加しました。
以前までの計算方法とは異なるので、広大な土地を相続する人は、早めに対策を検討しなければなりません。
相続税の計算手順は、遺産総額の計算・相続税の税額を計算・財産を取得した割合に応じた相続税を計算となります。

正味の財産を確認

まず、現金・預貯金・不動産などの財産をすべて確認して、借入金・葬儀費用を差し引いた後の正味の財産を確認してください。
正味の財産から、基礎控除額・保険金や退職金などの非課税枠を差し引いて、課税対象になる遺産総額を算出します。
計算式は「課税対象になる財産-借入金と葬儀費用-基礎控除額-保険金の非課税枠」です。
死亡保険金や死亡退職金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で決定します。
現金や預貯金は額面通りで有価証券は時価になるため、比較的わかりやすいです。
不動産に関しては、売買されるときの相場ではなく、国税庁の定める一定の方法で評価されるため、市区町村から送付される固定資産税納税通知書を確認してください。
この計算で遺産総額が基礎控除額を上回らなければ課税対象外です。

遺産総額から基礎控除額を計算

続いて、遺産総額から基礎控除額を計算して、法定相続人の数で割った数字に税率を掛け合わせます。
財産が多ければ多いほど税率が高くなり、1,000万円以下で10%・5,000万円以下で20%・1億円以下で30%・6億円超で55%です。

相続税の総額を取得する割合で分配

最後に、相続税の総額を遺産を法定相続人の間で取得する割合で分配してください。
配偶者は法定相続分もしくは1億6,000万円まで非課税になる特例が適用されるため、税金を抑えるには減税措置を有効活用するのがポイントです。

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土地の相続税評価額

土地の相続税評価額

相続税評価額とは、土地や建物などの固定資産の価値を数値化する固定資産評価額基準にしたがって各自治体が判断する価格です。
立地・広さ・形状などのさまざまな条件によって、具体的な金額は異なるので、自治体から送付される納税通知書を確認してみましょう。
納税通知書が見つからない場合、役所で固定資産税評価額証明書を取得したり、固定資産課税台帳を閲覧したりすれば確認できます。
相続税評価額の計算方法は、路線価方式と倍率方式の2種類です。

路線価方式

路面価方式は、都市部や住宅地に適用される手段で、国税庁のサイトで1平米あたりの単価が1,000円単位で表示されるので計算式に当てはめます。
計算式は「路面価×面積(平米)×補正率」です。
相続税路線価の項目に100Cと記載されている場合、1平米あたり100千円(10万円)として計算します。
補正率とは、通常とは異なるいびつな形状・間口が狭すぎる土地に対して、評価額が高くなって正確な数字が算出できない事態にならないように修正する方法です。
概要だけを大まかに把握したいときは「路面価×面積(平米)」で十分です。

倍率方式

倍率方式は、駅から離れている田園地帯や山林などに適用される手段で、国税庁のサイトに1平米あたりの単価が記載されているときに利用します。
計算式は「固定資産税評価額×倍率」です。
「この市区町村の評価倍率表を見る」のページで倍率が確認できます。
路線価方式と倍率方式が使えるのは、あくまで建物が建っていない更地の状態の土地に対してです。
建物が建っている場合は、小規模宅地等の特例などが適用されて評価額が低くなる可能性があります。

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まとめ

相続したときの遺産総額が、基礎控除額を下回れば、課税対象になりません。
ただし、大きな土地を相続して基礎控除額を上回った場合は、被相続人の死亡した日から10か月以内に税金の申告が必要です。
評価額の計算は、土地の種類によって異なるので、おおよその納税額を把握するためにも、早めに進めるようにしてください。