空き家における火災保険の必要性は?加入条件と注意点も解説

空き家における火災保険の必要性は?加入条件と注意点も解説

人の気配がない空き家は、放火や不法投棄といった違法行為のターゲットになることがあります。
そのため、誰も住まないとしても、空き家への火災保険について考えることが大切です。
そこで今回は、空き家における火災保険の必要性とともに、空き家で火災保険に加入する条件と注意点を解説します。

空き家における火災保険の必要性

空き家における火災保険の必要性

空き家での火災保険加入にお悩みならば、まずはその必要性についてチェックするのがおすすめです。
空き家にはどのようなリスクがあるか把握して、火災保険の加入について考えてみましょう。

放火のリスクがある

誰も住まない空き家には、放火のリスクがあります。
放火が発生した場合、空き家が焼け落ちるだけでなく、近隣にも大きな被害が及ぶことになります。
誰かが住んでいる住宅であれば、消火活動を迅速に開始できますが、空き家では放火が発見されるまでに時間がかかることがあるでしょう。
また、火災が鎮火した後には、焼け落ちた空き家の片付けに費用がかかることも、放火に伴うリスクです。
万が一のリスクに備えるためには、火災保険への加入が必要です。

自然災害で損壊するリスクがある

空き家では放火だけでなく、台風や大雪などの自然災害によって建物が損壊するリスクもあります。
誰も住まない空き家では、屋根の損壊やそれに伴う雨漏りへの対応が遅れ、劣化が進んで資産価値が低下します。
また、自然災害だけでなく、水道管の破裂による水漏れなども、突発的に発生するリスクの一つです。
火災保険は火災だけでなく、こうしたトラブルによる被害も補償するため、リスクを減らすためには火災保険への加入が必要です。

近隣への賠償責任を負うリスクがある

空き家で火災が発生した場合、発見が遅れ、近隣の住宅に火が燃え広がることがあります。
また、劣化が進んだ空き家では、台風によって外壁や屋根瓦が飛散し、近隣の住宅に被害を与えることがあります。
このように、自分が所有する空き家が原因で近隣の住宅に被害が出た場合、賠償責任を負うことは大きなリスクです。
火災保険に加入している場合、特約として個人賠償責任保険に加入できるため、こうしたリスクに対応できます。
空き家が原因で近隣に迷惑をかけるリスクを考慮するならば、火災保険への加入が必要です。

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空き家で火災保険に加入する条件

空き家で火災保険に加入する条件

どのような空き家でも火災保険に加入できる訳ではなく、火災保険の加入には条件があります。
また、空き家には2つの分類がありますので、それぞれの条件をチェックすることが大切です。

火災保険に加入できる空き家の条件

通常、人が住める状態の空き家であれば、火災保険に加入することが可能です。
反対に、放置され続けて廃屋となった空き家のなかで、人が住めない状態のものは、火災保険への加入が困難になります。
このように、火災保険に加入できる条件として重視されるのは、空き家の管理状態です。
火災保険に加入できるかどうかを見極めるポイントとしては、将来的に住む予定があるか、長期間空き家となるか、定期的な管理が行われているかが挙げられます。

住宅物件の場合

空き家の中でも、住居として利用されるものは住宅物件として扱われます。
住宅物件として扱われるための条件には、現在は空き家であっても将来的に住む予定があることが挙げられます。
また、別荘として使用しており、一年の中で限られた時期に居住することも、住宅物件の条件の一つです。
住宅物件として火災保険に加入する場合、かけられる保険の種類としては、住宅火災保険などがあります。
また、地震保険への加入も可能で、個人賠償責任保険にも加入できます。

一般物件の場合

空き家のなかでも住居以外に使用されるものは、一般物件として火災保険に加入します。
一般物件として扱われる条件は、住居として使用する予定がないことです。
そのため、個人で所有する建物であっても、住むためのものでなければ一般物件として扱われます。
ただし、住宅物件と一般物件のどちらとして扱われるかは、保険会社の判断によります。
住宅物件と一般物件はどちらも空き家ですが、両者の違いは保険料の金額です。
住宅物件は比較的安価で火災保険に加入できますが、一般物件は住宅物件よりも保険料が高額になります。
一般物件の具体的な例としては、遠方にある相続した空き家が挙げられます。
定期的に宿泊している場合には、一般物件ではなく住宅物件として扱われることもあるため、保険会社に相談することが重要です。
一般物件として火災保険に加入する場合、加入できる保険の種類は普通火災保険または店舗総合保険です。
また、住宅物件とは異なり、一般物件は地震保険に加入できません。
さらに、賠償責任については、施設賠償責任保険への加入が必要です。

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空き家で火災保険に加入する場合の注意点

空き家で火災保険に加入する場合の注意点

空き家で火災保険に加入する場合、いくつかの注意点をチェックする必要があります。
具体的な注意点の内容をチェックしたうえで、火災保険加入を検討しましょう。

加入できない可能性がある

維持管理が不十分な空き家の場合、火災保険に加入できない可能性があります。
これは、管理が行き届かない空き家は放火などの保険事案が発生しやすく、保険会社にとって大きなリスクとなるためです。
また、火災保険に加入できた場合でも、そのリスクの大きさから保険料が高くなることがありますので、注意が必要です。
具体的な保険料の金額は保険会社によって異なるため、加入前に見積もりを取ることが大切になります。
さらに、住宅物件のなかには、保険会社の判断で地震保険に加入できない場合もあることを考慮する必要があります。

火災保険の継続ができない可能性がある

親から相続した空き家や転勤などで空き家となったマイホームについて、住んでいた頃に加入していた火災保険の継続ができない可能性があることに注意が必要です。
家族や自分が住んでいた住宅が空き家になった場合、保険会社に連絡し、火災保険の継続について相談する必要があります。
相続や転居などにより空き家となったことを隠して火災保険を継続すると、火災や雨漏りが発生しても補償対象にならないリスクがあります。
この場合、保険料を支払っても補償対象外となるため、注意が必要です。

保険の目的

火災保険とは、火事などの万が一の際に自宅の再建を支援するものです。
しかし、空き家に火災保険をかける場合、その目的は再建ではなく、撤去費用を捻出するためであることを認識しておくことが重要です。
自宅の再建を目的とした火災保険では、一定金額以上の保険金額が必要となり、高い保険料を支払うことになります。
しかし、将来的に空き家に住む予定がなければ、再建よりも撤去や片付け費用を捻出するための保険と考えることがおすすめです。
撤去費用をカバーできる程度の保険金額であれば、支払う保険料も比較的少額で済みます。
将来的に住む予定がある場合には再建費用が必要ですが、住む予定がなければ高額な保険金額は不要です。

補償内容を確認する

火災保険の補償内容は、保険会社によって異なります。
そのため、火災保険に加入する際には、想定している補償が含まれている商品かどうかを確認することが重要です。
また、賠償責任特約や地震保険への加入が可能かどうかも、火災保険加入前に確認すべきポイントです。

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まとめ

誰も住まない空き家で発生しやすい放火や雨漏りのリスクを減らすには、火災保険への加入が必要です。
空き家で火災保険に加入するには、管理状態などに条件があるほか、住宅物件・一般物件の違いがあります。
相続や転勤で空き家となった場合に火災保険を継続するには、保険会社へ連絡することが注意点です。