小規模宅地等の特例での必要書類とは?ケース別に解説
親が所有していた財産を相続すると、その財産の評価額に対して相続税が課されますが、小規模宅地等の特例が適用されると土地の評価額が大幅に下がり、節税できます。
小規模宅地等の特例を利用するためには、さまざまな書類を準備しなければならないため、あらかじめ把握してスムーズに手続きしましょう。
そこで今回は、小規模宅地等の特例を利用する際の必要書類を、別居の親族が申請するケースと、被相続人が老人ホームにいたケースに分けて解説します。
不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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小規模宅地等の特例の必要書類1:共通して添付するもの
冒頭でもお伝えしたように、小規模宅地等の特例は、条件を満たせば相続税を抑えることができます。
まずは、「そもそも小規模宅地等の特例とはどのような制度なのか」といった基礎知識から解説します。
小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例とは、被相続人が使用していた宅地を相続した際に課される相続税について、対象の土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
この特例の目的は、高額な相続税により相続人の負担が大きくなるのを防ぐことです。
もともと、相続税には基礎控除額が設けられており、相続した財産の総額が基礎控除額を上回っていなければ相続税は課されません。
しかし、宅地を含めた財産の総額が基礎控除を上回っている場合は、小規模宅地等の特例を利用して土地の評価額を減額し、課税価格を少なくすることで、相続税を抑えられるのです。
申請時に添付する共通書類
小規模宅地等の特例を利用する場合は、必要書類を揃え、相続税の申告期限内に税務署に申告しなければなりません。
申告時に提出する必要書類は、だれが相続するかによって異なります。
そこでまずは、共通の必要書類から解説します。
どのケースでも、以下のような書類が必要です。
●遺産分割協議書または遺言書の写し
●相続人全員の印鑑証明書
●戸籍の謄本
それぞれの内容について、順番に解説します。
遺産分割協議書または遺言書の写し
小規模宅地等の特例は、原則として、遺言書や遺産分割協議によって遺産の分割が完了していることを前提にしているため、それを証明するための書類が必要です。
遺言書どおりに相続する場合は遺言書の写し、遺産分割協議で決めた方法で分割する場合は遺産分割協議書の写しを提出します。
遺産分割協議が相続税の申告期限までにまとまらない場合は、申告期限後3年以内の分割見込書を提出してください。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議は、相続人全員が同意した内容を記した遺産分割協議書に相続人全員が署名・捺印をして成立します。
このときに使用する印鑑は、印鑑登録をしている実印でなければなりません。
そして、遺産分割協議書に捺印した本人であることを証明するために、相続人全員の印鑑証明書を提出する必要があります。
戸籍の謄本
だれが被相続人の相続人となるのかを確定するために、被相続人の戸籍謄本を取得して添付します。
なお、相続開始後、10日以上経過してから作成されたものを取得してください。
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小規模宅地等の特例の必要書類2:別居の親族が申請する場合
被相続人が一人暮らしをしていたというケースも珍しくありません。
別居の親族がその宅地を相続するにあたって小規模宅地等の特例を利用する場合は、共通書類のほかに添付しなければならない書類があります。
そこで次に、被相続人と別居している方が小規模宅地等の特例を利用するケースについて解説します。
別居の親族が証明すべき内容
別居の親族は、以下のようなことを証明しなければなりません。
●相続開始前3年以内に、本人およびその配偶者が所有する家屋に居住したことがない
●被相続人に配偶者および同居の親族がいない
親族が申請するときには、共通書類にくわえて、上記を証明できる書類を添付して税務署に申告する必要があります。
別居の親族が添付する書類
別居であることを証明するための書類は、以下のとおりです。
●賃貸借契約書
●戸籍の附票の写し
●相続する不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
それぞれの内容について、順番に解説します。
賃貸借契約書
相続開始前3年以内に本人や配偶者が家屋を所有していないということは、言い換えると、アパートや借家といった賃貸物件に居住していたということです。
それを証明するために、賃貸物件の賃貸借契約書を添付する必要があります。
戸籍の附票の写し
賃貸借契約書のみでは、実際にその物件に住んでいたことを証明するには不十分です。
そこで、相続開始前3年以内にどこに住んでいたのかを証明する書類が必要です。
住所や居所を証明するために、戸籍の附票の写しを添付します。
戸籍の附票には今までの住所が記録されています。
戸籍の附票の写しは本籍地の市区町村役場で取得しますが、本籍地が遠方の場合は、郵便で請求することも可能です。
相続する不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本(登記事項証明書)とは、所有者の氏名や住所、不動産の面積、抵当権設定の有無など、不動産に関するさまざまな情報が記載されている書類です。
登記簿謄本(登記事項証明書)によって、相続開始前3年以内にその不動産を所有していないことを証明できます。
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小規模宅地等の特例の必要書類3:老人ホームにいた場合
被相続人が亡くなるまで老人ホームに入所しており、空き家になっていた実家を相続することになったというケースもあります。
そこで最後に、被相続人が老人ホームにいた場合に、被相続人が所有していた宅地の相続で小規模宅地等の特例を利用するときの必要書類について解説します。
被相続人が老人ホームにいた場合に証明すべき内容
被相続人が老人ホームに入所していた場合は、以下のようなことを証明しなければなりません。
●被相続人が相続開始の直前までに要介護認定などを受けている
●法律で定められた福祉施設に入所している
●老人ホームに入所していたあと家屋を他人に貸していない
被相続人が老人ホームにいた場合に、小規模宅地等の特例を利用するためには、共通書類にくわえて、上記を証明できる書類を添付して税務署に申告しなければなりません。
被相続人が老人ホームにいた場合に添付する書類
被相続人が老人ホームに入所していたことを証明するための書類は、以下のとおりです。
●戸籍の附票の写し
●介護保険の被保険者証
●施設に入所したときの契約書
それぞれの内容について、順番に解説します。
戸籍の附票の写し
老人ホームに入所する際には、基本的に施設に住民票を移すのが一般的です。
戸籍の附票には。住所の移り変わりが記載されます。
したがって、戸籍の附票の写しによって、戸籍の被相続人が老人ホームに入所していたことを証明できます。
介護保険の被保険者証
小規模宅地等の特例を利用する条件として、被相続人が要介護認定を受けていたことが挙げられます。
そのことを証明するために、介護保険の被保険者証や生涯福祉サービス受給者証などの写しを添付する必要があります。
施設に入所したときの契約書
被相続人が、亡くなる直前まで老人ホームに入所していたことを証明するために、施設に入所したときの契約書を添付してください。
なお、その老人ホームは、法律で定められた福祉施設でなければ特例の適用を受けられません。
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まとめ
被相続人が所有していた自宅用の宅地を相続する場合は、小規模宅地等の特例を利用して土地の評価額を下げることで、相続税を抑えることができます。
この特例を利用する際には、相続する方によって提出書類が異なります。
ご自身がどのケースに当てはまるのかを確認し、必要書類を早めに準備して、相続税の申告期限に遅れないように手続きしましょう。
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