老朽危険家屋解体撤去補助金制度の目的とは?支給条件や補助金制度も解説

老朽危険家屋解体撤去補助金制度の目的とは?支給条件や補助金制度も解説

物件の老朽化が進んでいるため解体を検討しているものの、費用が高くて実行できずに悩んでいませんか?
木造物件の解体費用は100万円以上かかるケースが多いですが、老朽化に関する一定の要件を満たすと自治体から援助を受けられる制度があります。
こちらの記事では、老朽危険家屋解体撤去補助金制度の目的や支援条件、その他の補助金について説明していますので、ぜひ参考にしてください。

老朽危険家屋解体撤去補助金制度の概要と目的とは?

老朽危険家屋解体撤去補助金制度の概要と目的とは?

老朽危険家屋解体撤去補助金制度は、地域全体の安全性を向上させるために、各自治体と国が連携して老朽化が進む物件の解体費用を支援する制度です。
この制度の募集は各自治体が実施していますが、空き家再生等推進事業の支給額の一部は国から提供されており、大規模な支援がおこなわれています。
ここでは、この制度が制定された目的と支給金額について解説します。

倒壊の危険性を減らす目的とは

人口減少や高齢化に伴い、管理されていない空き家が増加している現状が社会問題となっています。
本来は所有者が適切に管理するべきですが、遠方に住む親族から相続したり、老朽化が進みすぎていると管理や修繕に高額な費用がかかるため、放置されるケースが増えています。
老朽化が進み倒壊の危険性があると、近隣住民は安心して生活できません。
さらに、小動物や害虫の侵入、悪臭、景観の悪化のほか、放火や違法薬物の取引現場となるなど、犯罪者のターゲットになる可能性が高く、地域の治安悪化が懸念されます。
こうした問題を解決するために、所有者が自発的に物件の解体を決断できるよう、国と自治体が連携して支援をおこなっています。

自治体によって補助金額が異なる

老朽危険家屋解体撤去補助金制度で受け取れる上限額は100万円が目安です。
ただし、全国一律ではないため、各自治体によって解体費用に対する補助割合や上限額が例として以下のように異なります。

●長野県長野市では上限100万円(解体費用の2分の1)
●熊本県天草市では上限50万円(解体費用の2分の1)
●東京都西東京市では上限30万円(解体費用の3分の1)


要件や支給額については、解体したい物件の所在エリアを管轄する自治体のホームページや役所の窓口で確認できます。
自治体ごとに名称が異なる可能性があるため、各自で確認が必要です。
一般的には「老朽」「空き家」「危険」「不良」「解体」などの言葉が含まれているため、「地域の名前+解体+補助金」で調べてみると見つかる可能性が高いです。

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老朽危険家屋解体撤去補助金制度の支給条件

老朽危険家屋解体撤去補助金制度の支給条件

倒壊リスクがある物件を減らす目的で制定されているため、すべての物件が解体費用の支援対象になるわけではありません。
具体的な支給条件は自治体によって異なりますが、以下のような共通する条件があります。

個人が所有する空き家

国や自治体の補助金で解体できる物件は、個人が所有する空き家が対象です。
マイホームや賃貸物件として貸し出している物件は、たとえ老朽化が進んでいても、人が住めているため緊急性が低いと判断されます。
特定空家に指定されている物件であれば、管理や処分が必要なため、支援を受けられる可能性が高いです。

旧耐震基準の建物

支援を受けるためには、築年数の基準を設けている自治体が多くあります。
1981年以前に建てられた物件は旧耐震基準建物と呼ばれており、行政管理が適切に行われていないものが多くあるため、地震発生時の倒壊リスクが高く、解体や補強工事が推奨されています。
そのため、築年数の古さとともに物件の耐震基準が古いと支援対象になりやすいです。

一定基準を超えた老朽破損

国土交通省が公開しているガイドラインに基づき、各自治体が定める住宅の不良度判定にて、老朽破損状況が一定基準を超えているかどうかがチェックされます。
構造部分・防火性能・インフラ・衛生の4項目が測定基準に含まれており、それぞれの問題点を数値化して100点を超えると不良住宅と判定されます。
逆に、100点未満の場合は老朽化によるリスクが少ないと判断され、自費での解体を求められる可能性が高くなります。

税金の滞納

国や自治体が国民から徴収した税金を使って費用の一部を支援する制度であるため、税金を滞納している人は支援対象になりません。
現時点で税金の滞納がある場合は、まずすべての納付義務を果たしてから申請を検討するべきです。
倒壊リスクの高い物件の解体費用を自費で捻出できないほど経済的に困窮している場合は、物件の管理や処分方法について各自治体に相談してみてください。

所得制限の範囲内

国や自治体からの支援は、金銭的な負担を軽減する目的で実施されているため、所得制限を設けている自治体が多くあります。
前年度の所得が1,000万円を超えていると、解体費用を支払う余裕があるとみなされ、支援対象にならない可能性が高いですが、実際の所得基準は自治体によって異なります。

老朽危険家屋解体撤去補助金制度以外で住宅解体に利用できる補助金とは

老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けるためには、物件の状態や個人の所得など細かい支給条件が設けられているため、支援対象にならない方も多いでしょう。
国土交通省の空き家対策総合支援事業は、老朽危険家屋解体撤去補助金制度のほかにもさまざまな解体費用の支援制度を設けています。
ここでは、補助金制度を4つ紹介します。

木造住宅解体工事費補助金とは

木造住宅解体工事費補助金は、現耐震基準を満たしていない木造物件の工事費用を支援する制度です。
大型地震による被害を最小限に抑える目的で制定され、耐震性の低い物件を解体・耐震補強する際の工事費用を最大50万?80万円まで支援してもらえます。
自治体によって要件や支給金額は異なりますが、専門家による耐震診断で「耐震性に問題あり」と診断された場合に申請できます。

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建て替え費補助金とは

建て替え費補助金とは

現耐震基準を満たしていない物件を建て替える際の工事費用を支援する制度です。
耐震基準の低い物件を減らし、地域全体の安全性を確保する狙いがあり、支給額は自治体によって異なりますが、解体や新しい住宅の建築時の費用負担を軽減できます。
家庭用燃料電池システム・雨水タンク・合併浄化槽・太陽光発電など、物件の性能を高める設備に対しても一部補填されます。

ブロック塀の補助金とは

一定の要件を満たしたブロック塀の撤去費用を支援する制度です。
大型地震でブロック塀が崩壊することによる被害を最小限に抑える目的で制定され、支給額は自治体によって異なりますが、費用の20?50%ほど支援してもらえます。
ブロック塀のほか、コンクリート製・石造り・レンガ造りなどの建材も支援対象です。

アスベスト除去の補助金とは

建築物に使用されているアスベストの調査費用と、除去費用を支援する制度です。
アスベストは、過去に断熱性や防火性が高い素材として広く使用されていましたが、健康被害の問題が相次ぎ現在では使用が禁止されています。
解体工事をおこなう際にも、解体業者の健康被害を防ぐためにアスベスト調査が義務付けられており、建築物にアスベストが含まれていると判明すると、除去費用も所有者が負担しなければなりません。
しかし、この制度を利用すれば、義務化されている調査費用と除去が必要になった際の費用負担を軽減できます。

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まとめ

老朽危険家屋解体撤去補助金制度は、空き家問題を解決するために国と自治体が連携して解体費用を支援する制度です。
すべての空き家が対象になるわけではないため、各自治体ごとの支給条件を確認する必要があります。
支給条件を満たさない場合でも、他にもさまざまな解体費用を支援する制度があるので、ぜひ確認してみてください。